3ヶ月間のいのち
彼女はベトナム人です。昨年結婚したばかりの若い夫婦の初めての赤ちゃんでした。夫は日本在住ベトナム人ですが、妻は結婚して日本に来たばかりでした。
妊娠したことが分かり、検診を受けているうちに胎児に異常があることが分かりました。妻のAさんはすっかり動転してしまいました。言葉もわからないため、私のところにお医者さんとの間の通訳をしてくれるように依頼があったのは、この春、私がフィリピン、ダバオで研修会に参加している最中のことでした。
Aさんのショックがあまり大きかったので、実家に戻ることを勧められてベトナムへ帰国し、そこで あらためて母国語で医師からの説明を受けました。
医師から言われたことは、「おなかにいる赤ちゃんの病気はとても重い。生まれても助からないからおろすように」というものでした。
熱心なカトリック信者であるAさん夫婦はその言葉を聞いて、すぐ、日本へ戻ってきました。
それから、日本にいるベトナム人の看護婦士さんに通訳をお願いするようにみんなで探して、連絡しました。私自身、医学の専門などはお手上げでしたから…
「横隔膜ヘルニア」とかいう病気のようでした。
都内の大きな大学病院でぶじ出産。すぐに手術が行われました。私は専門的なことが分かりませんが、横隔膜のヘルニアのために胃腸が全部肺の上まで上がってきてしまっていて呼吸困難などの重い症状があったようです。それを、手術して一応あるべき場所に戻すということをしたようでしたが…
重症かつ新生児のため、両親でさえ子供との面会時間が限られていたようですが、毎日病院に通って子供に会い、ハラハラする毎日を過ごすうち、ついに先日天国に召されました。
夫のTさんが、「赤ちゃんが逝っちゃった・・・」と泣きながら電話してきました。その声を聞きながら、私は何も答えられませんでした。
でも・・・赤ちゃんはいのちを得ました。3ヶ月でしたが、生きることができました。
ベトナムにいたら…と思ったら背中が冷たくなる思いでした。
Tさん、Aさん夫婦にとっては大きな大きな十字架、試練だったことでしょう、でもまた、大きな慰めだったことも確かでしょう。
まだ若いTさんとAさんに、今度は元気な赤ちゃんが恵まれるようにお祈りしています。
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コメント
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ご訪問していただきありがとうございます。
お母さんの深い悲しみに心が痛みますね
投稿: マミ | 2009年10月 8日 (木) 23時32分