風のいたずら
先週あたりは天候が定まらず、雨・風の荒れた日が多かったように思います。歩行車を使っている私は雨が降っては外出ができません。そのため、何度か歯医者さんの約束をキャンセルしました。そんなある日のことです。その日は雨は降ってませんでしたが、大風の吹き荒れていた日でした。
何気なく部屋から外を眺めたら、木々の枝が大風に弄ばれてあっちを向いたり、こっちを向いたり。隣の木も同じような動きをしているのを見ていて、ふと、「あら、木たちは楽しそうに何をおしゃべりしているのかしら?」と思いました。大笑いしているようにも見えます。何しろ木たちがくっついたり離れたり、太い枝が笑っているかと思えば、枝先の葉っぱがきらきら光りながら「そうだ、そうだ」というようにまるで本当に楽しそうに笑っているようなのです。
しばらくたって、河口湖に住んでいるM子さんに電話をした時、驚きました。M子さんが、その日の大風の酷さのために、自分の小さな畑に被った被害や、老木の枝が折れて歩行中身辺に落下する危険について話してくれた後に、「それにしても、木たちはなんと楽しそうなんでしょう!」と、私と全く同じことを感じてそれを口にしたのです。そこでまた、話に花が咲いたのは当然ですが…
お昼過ぎ、空を見上げれば、いつ雨が落ちてきてもおかしくない様相… でも、雨は降ってないのだから、出かけるなら今だ。用心のためにレインコートを羽織り、歩行車のバッテリーの入っている箱にはぬれても大丈夫なようにプラスチックの袋をかぶせて、やっとのことで歯医者さんに行きました。治療が終わってビルの外へ出たら、雨がぽつぽつと降り始めていました。風は相変わらず強かったので傘をさしている人は途中で傘を閉じなければならないほどでした。でも、私は傘もないし、レインコートのフードをかぶって、結構楽に歩行車で歩いていました。と、その時、突然バッテリーにかぶせてあったプラスチックの袋がめくれて飛んで行ってしまったのです。あっという間の出来事でした。袋は車道の真ん中で、私をからかうように、ひと遊びして向かい側の歩道に飛ばされていきました。「ま、いいや」とそのまま歩いていたら、また一陣の風が吹いたと思ったら、その袋は車道を越えてこちら側の歩道に飛ばされてきました。そして、何と歩行車の前輪のところで車輪に絡むように止まったのです。「ただいま」とでも言うように。私は、思わず笑ってしまいました。プラスチックの袋が生き物のように見えて、思わず「かわいい!」とつぶやきながら袋を拾い上げました。
風のいたずらですね。
”風がどこから吹いてくるのか ひとは誰も知らない 愛を呼びさまし 心をうるおし いつの間にかわたしの中を
吹き抜けてゆく それは気高いキリストの思い どこへ風は吹いてゆくのか 誰も 知らない”(典礼聖歌386)
最近のコメント